2006年03月03日

ソースにとろみをつける!

3月3日、ひな祭りですね!
あいにくの雨でしたが、ちょっと特別な日をみなさん楽しんだんでしょうか?
小さなお子様のいる家庭ではそうかもしれませんね。
私は仕事で気付けば一日が過ぎ去っていました。笑

と、ひな祭りにまつわるお話を・・・とでも思ったんですが、
なかなか思いつきませんでした。汗
甘酒のお話くらいでしょうか?笑
ただ、甘酒のおはなしは以前した記憶があるのでやめておきましょう。。。
今日はだから普通に調理雑学編にしたいと思います。

フランス料理でとてもとても大事なファクターとして、ソースがあります。
クラシックになればなるほどそうですが、
ソースなくして料理は完成しないと言ってもいいかもしれません。

日本料理では素材をシンプルに味わうために、
だしの味付けもシンプルなものが多いですよね。
素材から不要なものを引いて引いて、引き立てていく引き算の料理と言われます。

フランス料理はその逆。
素材同士の旨味を加えて加えていく足し算の料理。
その最終点として、旨味を濃縮したソースというものが完成すると言えます。

フランス料理のだし汁といえば、フォンと呼ばれるもの。
色んな動物の肉や骨、香味野菜を煮込んで旨味を抽出したものですね。
そして、ワインなどを煮詰めたものとフォンを合わせて更に煮詰め、ソースが出来上がります。

そして、ソース作りの最後の仕上げとして、欠かせないものがバター。
濃厚な肉料理に添えるソースに主に使われます。

どうして加えるのでしょうか?
ソースにバターのコクと風味が加わって、味がよくなるため。
ツヤと照りが出て、ソースの色に奥行きがでてくる。
ソースに濃度が出てとろみがつく。
というところでしょうか。
このソースの仕上げにバターを加える作業のことを、
「 monter モンテ 」と言います。
monter には、上げる、とか上がるという意味もあるので、
ソースの仕上げという意味と言えるでしょう。

味と見た目に変化があるのはわかりますよね。
バターの風味、脂分の光沢が加わるためです。
最後のとろみがつくというのはどういうことなんでしょうか。

マヨネーズはお好き?という記事でちらっとお話していたかもしれません。
そう、乳化という状態がとろみの正体なんですね。
バターはそもそも水と油が乳化しているものなんです。
乳化するとそれまで分離して流動性を持っていた水と油がお互いに固定しあって安定し、
流動性を失います。つまり、とろみがつく、ということなんですね!

マヨネーズは、多い水の中に少量の油の粒が拡散している、水中油滴型の乳化です。
一方バターは、多い油の中に少量の水の粒が拡散している、油中水滴型の乳化です。

モンテの作業は、
バターをいったん溶かして乳化の状態が壊すところから始まります。
そして、今度はバターに含まれる油をソースの水分に拡散させていきます。
つまり、油中水滴型の乳化から、水中油滴型の乳化に変える、ということですね。
モンテとはつまりバターをソースに乳化させることなんです。

ちょっとややこしくなってきましたね。笑

ただ、乳化という状態はけっこう繊細で、
水を油を少しずつ加えて細かく攪拌しないとうまくいきません。
一度に油を加えてしまうと、油滴が細かくならないんです。

ソースにバターをモンテするときも同じ。
コツは、溶けたバターではなく、ある程度硬さのあるバターの塊を少しずつ加えること。

塊のまま加えることによって、表面のから少しずつ溶け込むことになります。
また、ソースを沸かしてしまってはせっかく塊で入れてもすぐに溶けてしまって意味がありません。
ですから極力弱火で溶かしていきます。
さらに、攪拌するのも、たえず鍋をゆすりながらヘラで混ぜる程度に。
泡立て器などを使って激しく攪拌すると、
気泡が入り込んでしまってソースの透明度が落ち、白く濁ってしまうんです。

と、これがソースにとろみをつけるモンテという作業のおはなしでした。
ただ実は近年のフランス料理では、
このモンテという作業がなくなりつつあります。
健康志向が広まっているからですね。
モンテでは、かなり大量のバターを加えるので、
やはりどうしても身体にとっては負担の大きなものとなります。
1970年代の「Nouvelle Cuisine ヌーヴェル・キュイジーヌ(新フランス料理)」の基本的な考え方です。
バターや生クリーム、小麦粉をつかったルーなどのつなぎを極力使わず、
より軽い口当たりにするのが時代にあっていたということなんです。
こうしてモンテは徐々に衰退してきているといえます。

ただ、私はこういったクラシックな技法が忘れられていくのはなんだか悲しいことだと思うんです。
確かに健康志向の現代では、ニーズは少なくなっているのかもしれませんが、
料理人が表現したい料理、味にするために必要なテクニックの一つとして、
大事にしていきたいと思います。

実は、ウェディングなどで大量に、しかもいっぺんにフルコースを提供しなければならない場合、
進行上短時間でお料理をお客様のもとへ運ぶ必要があります。
そういった状況では、あまり軽いソースだと濃度が足らないので、
皿全体にソースが広がってしまったり、最悪の場合こぼしてしまったりということも・・・
作業性を考えると、ある程度濃度が必要なこともある、と私は考えます。
モンテはそんなときにも使えるテクニックなんですね。
コース全体を捉えて、軽く仕上げるところとのバランスをはかれば大丈夫だと思います。
うーん、奥が深いですね。笑

ソースにとろみをつけるといっても、他にもいろんなやり方があります。
それはまた次のおはなしにしたいと思います。
今日はこれくらいで!


グルメランキングです。
posted by koji at 22:55| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 調理雑学・うんちく | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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